警告：一部性的表現が有ります。苦手もしくは不快を感じられる方はお避け下さい。
疲れている筈なのに、身体も意識も興奮しているのか眠れない。
目を瞑り眠りにつこうと努力するのだが、自分の心音すら五月蝿く感じてしまう。
眠りを誘うため、少し本でも読んで気持ちの昂りでも鎮めるか。
ベッドわきのサイドテーブルに置かれた読みかけの本を取ろうと、上半身を伸ばそうした時だった・・・
ベッドの上の隣人は、満ち足りた幸せそうな顔で眠っている。
まるで追い剥ぎのように人の毛布を奪い盗り、一人温かく包まっていた。
俺はといえば、毛布を奪われ薄いベッドカバーが毛布の替わりに掛かっているだけ。
いくら室温が調整されているとはいえ少し肌寒く、それもあって眠れない。
枕の脇に置いてあったエアコンのリモコンを手に取り、室温を少し上げる。
隣人のが何か寝言を言いながら寝返りを打つ。
先程までひときわ高い声で啼き、必死にシーツを握っていた手も、今は力が抜けてくたりとしている。
半時前まで俺に身を委ね、されるがままになっていた。
時折り俺の名前を切なげというより苦しげに呼び、『いやぁ～クロロ・・・だめっ、許して・・・』と言うくせに腰は俺を誘い、別の生き物のように動く。
しかも中は喜びを表すかのごとく激しく伸縮し、俺の精を奪い取ろうと蠢く。
言葉とは逆に身体は素直に反応するものだから、俺としても期待に応えようと必要以上に頑張ってしまう。
それが今は幼子のような無垢な寝顔になっているものだから、可笑しさが込み上げてくる。
・・・反則ともいえるギャップ。
「・・・ 」
覆いかぶさるように耳元で名前を囁いてやれば、擽ったそうに首と肩を動かす。
「も～う、バカクロロ・・・」
意識がないくせに、人の名前を甘えるように口にする。
しかもバカが付く・・・一体どんな夢を見ているのやら。
口元をむにゅむにゅ動かし、まるでおしゃぶりを銜えた赤ん坊のようだ。
「俺のことが好きか、 ？」
「う～ん～」
返事だけを聞けば肯定とも否定とも取れる響きだが、口先を少し尖らせ何かを強請る。
何なんだ！？本当に寝ているのかと疑わしくなってくる。
俺をからかっているのか・・・
の眼球が動き、閉じた目蓋がぐりぐりと動く。
ふっと、俺は笑みを溢す。
急速眼球運動か・・・
レム睡眠に深く入り、夢を見ているのに間違いはなかった。
面白いので、俺は口でなく指をの唇にそっと押し付けてやる。
俺の唇と思い込んだは、俺の指を舐めようとする。
いやらしく動く舌先・・・
先ほどまでこの口が咥え、舌が愛撫していたモノを思い出し、くすぐったさと快感にぶるりと身を振るわす。
寝てもなお可愛い 。
その姿は何時まで見ていても、飽きぬのではないかと思うほどだった。
ブラインドが下りた窓の向こうでは、明け烏の羽音が聞こえる。
俺の眠れぬ夜にやっと睡魔が訪れる。
しばし眠りの時を・・・ を胸に包み込み、深く深くと落ちていく。
End
2017/02/15 改稿
2009/05/02 加筆・修正
2007/11/23
Back隣で寝る彼女を隣人と表現してみたりして。１０年前は、こんな内容を書いていたんだ・・・