警告：一部性的表現が有ります。苦手もしくは不快を感じられる方はお避け下さい。
キミは恨みを籠め、呪いの言葉を口にした。
ボクとしては愛の呪文の方がよかったのに。
もしもその強い恨みを発動条件にしていれば、キミの願いどおり、確実にボクを殺せたものを。
ボクとしては想いを叶え、とても満足だ。
服を着ても肌に残るのは、キミが歓喜してたてた爪痕と、発情したメスの移り香。
そしてキミの部屋に残ったモノは、ボクが放った臭い。
……部屋を後にするボクに対し、キミは憎しみを込め無言で枕を投げつけた。
共有してしまった２人の秘密。
否……秘密にしたいのはキミの方。
ボクとしては既成事実を作ったまでのことで、誰に知られようと構いはしない。
そしてこの空間に、今存在している人間は３人しかいないということ。
その３人を、キミは２人と見誤った。
知られたくないのだろ？もう一人の男に。
だけど、彼につまらぬ隠し事は通用しない。
ボクがここへやって来たことも、誰の部屋に居たかも全てはお見通し。
それが分かっているくせに、それでも事実に背を向けようとする。
それとも夢を見たのだと、自己納得しようと言うのか。
認めたくない事実は、あの男も認めたくない事実だと思いたいのか。
キミにとっては関心を示す問いかけと、問いかけのない無関心と、どちらを選んで欲しい？
キミの性と性癖を知っているであろう男は、キミに対し女としての興味を示さない。
仮にボク達が一つに繋がっているところを目にしても、動揺することはないだろう。
どんなに恋焦がれ悶々としたところで、キミの欲しい答えは永遠に得られない。
愛情の対義語に憎悪と答える者もいるが、あの男の答えは無関心。
でもキミが蜘蛛の手足となれば、そこに生じるキミの価値。
キミはあの男の一部だと言ってもいい。
涙ぐましいじゃないか。
偽りの手足であるボクにとっては妬ける話し。
穏やかな声だが鋭い質問。
背筋がゾクゾクする問いかけに、ボクは思わず舌なめずりをしそうになった。
「ヒソカ、何を企んでいる？」
「別に、何も」
あぁぁぁ、やはりキミは最高だ。
ボクの気持ちを読み取っている。
なのにキミとのデートが中々出来ず、ボクのキミに対する想いは募ってゆく。
ならばこの想い、どうやって発散させようか……
たまたま手に入った面白い品。
誰が名付けたか、mugenと呼ばれるこの薬。
一時だけ全ての人間をストレスから解放し、本能のままに行動させてくれる。
この薬の良いところは、最大の快楽を生み出してくれるくせに、常習性のないところ。
だから優しいボクは、ストレスに苦しむキミにプレゼントしてあげよう……
ほら……天にも昇る心地になれただろ？
鬱積した身も心を吐き出すがいい。
欲したモノを本能のままに貪れ。
蕩けそうなキミの表情から、あの男の名前が幾度となく溢れ出る。
でも…キミの中に居るのは……
同じ時間を共有し、同じ快楽を味わったはずなのに……
ボクは淫らな現実を味わい、キミは不条理で淫らな夢を見た。
mugenに常習性はないけれど、一度覚えてしまった快楽の大きさは……
起きた出来事に目を瞑ろうとするキミにとって、これは単なる序章にすぎない。
不条理で淫らな夢 関連作品
夢mugen幻 １ 地下格納庫夢mugen幻 ２ 地下格納庫（地下格納庫へは、ここからではリンクいたしません）
END
2018/08/10
Back初稿は2009/11/01で、バックヤードに９年間寝かせていた作品。時系列としては１年後にマチでUPした夢mugen幻 １・２が先となります。
脳内妄想で、ヒソカとマチは一度だけ男女関係にあったという設定で作られた作品。ヒソカのクロロに対する想いを遂げられぬ鬱積を、マチではらしたみたいな……。あわよくばマチを手に入れ、その事をきっかけに、クロロと念願のタイマン勝負が出来ればベスト。とは、ヒソカの思惑どおりに事は運ばない……