「本当に殺しちゃってもいいのかい💛」
「かまわないだろ。キルアは怒るかもしれないけど……もしかして、父さんも怒るかな？」
一瞬考えたイルミだったが、次に出た言葉は……
「でも、殺すのはヒソカだし、俺が殺すわけではないからいいんじゃない」
「クッ、クッ、クッ、それなら、遠慮なく狩らせてもらうよ♣」
相も変わらず無表情で言うイルミに、罪悪感なんてありゃしない。
イルミ＝ゾルディック、それにしてもキミは酷い男だね。
ゾルディック家に心底使える執事達を、ボクに殺させようとするなんて。
キミにとっては単なる使用人。
目的のためなら手段を択ばず、自分の手を汚さないことで、我関せずと言うことか。
ボクとイルミは小高い山の頂上から、イルミの弟であるキルアとアルカが乗る車を看視していた。
車にはゾルディック家の執事長と女執事が二人乗り込んでいる。
横に立つイルミはキルアに対し、家族でないものは殺すと、宣戦布告をして携帯を切った。
その言葉通り速攻で、イルミによって操作された材木を積んだ大型トラックと、乗用車がキルア達を襲う。
細い峠道のガードレールを突き破り、車とトラックが仲良く樹海へと落ちて行く。
「おやおや♦ずいぶん過激だねェ……」
小手調べとはいえ、イルミの容赦ない攻撃に、ボクの笑いが漏れる。
こんなことで死ぬようなキルアではないだろうが、アルカはどんなことをしても始末ようと言うイルミ。
事情を聞けばアルカは、ゾルディック家最大の厄災だからしょうがないのだろうが、その厄災がキルアと仲良しで、更には瀕死のゴンを助けてくるらしい。
遠くで燃え上がる車。
それを見ながら、イルミはアルカの解明されない能力を語り、ゾルディック家に対する危険要因を排除するのだと、淡々と話す。
「ヒソカは周りの執事を排除しつつ隙あらば、アルカをキルアから引き離してくれればいいよ。とりあえず」
「ＯＫ♦」
「ところで、ボクがキルアを殺るのはアリかい？」
もしかして、キミを怒らせた？
ズズッ…イルミから漏れ出る怒りのどす黒いオーラ。
「お前を殺すよ？ここで今」
「冗談だよぉ💛 殺気……もれてるケド、大丈夫？」
「あ…しまった」
「……」
「もしかして、ハメた？」
「まさか💛」
今の凄まじい殺気はキルア達に気が付かれ、この場所にいることは当然特定されたはず。
キミにとって、ゾルディック家の災を断つことが最大の目的かもしれないけど……
ボクねェ、出来ればゴンにも助かって欲しいんだよね💛
だからアルカに今死なれるのは困るわけ。
玩具は多い程、楽しいじゃない？
ま……出来ればだけど……♦
でも今回のおかげで、キミの家の事情が大分見えてきたよ。
イルミはキルアを支配したい
キルアはアルカと仲がいい
イルミはアルカを殺したい
なんて素敵な家族関係なんだ💛
さすがボクの９５点だけのことはある。
でも、ボクにはボクの都合というものがあって……
ボクがアルカを殺って、キルアの憎しみを買うのが楽しいか。
アルカを殺らずにゴンを助け、イルミを敵に回すのが楽しいか……💛
迷うねェ～～～💛
それともアルカを殺らずにイルミが死んで、キルアにも憎まれず……じゃ、ゴンが元に戻っても、+－ゼロじゃない？
それならアルカを殺ってキルアに憎まれて、そのキルアを殺ってイルミに憎まれて……が、ベストなんじゃない……？
想像するだけで、ワクワクしてくるよ💛
ボクはボクのベストのために、キミに協力をしているだけのこと。
キミがボクを利用しているように……
END
2017/10/18
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