警告：一部性的表現が有ります。苦手もしくは不快を感じられる方はお避け下さい。
「キミはさ、殺人者に向いていないんだよ♠」
切れ長の目をさらに細め、ヒソカは私に毒づく。
「そりゃあそうでしょう。私はヒソカと違って快楽で人を殺しているのではなく、仕事で人を殺しているだけですから」
変態奇術師相手に口を少し尖らせ反論してみたが、ヒソカは何処吹く風で私の顔を覗き込む。
まったく……しゃくに障るったらありゃしない。
青い果実狩りと称し、趣味と道楽で人を殺している人間と一緒にされたのでは堪らない。
私は不本意ながら、仕方なく暗殺を生業にしているだけのこと。
人間、自分の好き嫌いに関係なく、どうしようもない才能に運命を決められてしまう時もある。
私の場合は不幸にも暗殺の才能が秀で、なおかつ環境というものが揃っていた。
父親にしてみれば、お前が男に生まれていれば家督を継げたかもしれないのにと嘆く。
暗殺を代々の家業とする一族にとって、私の才能は過去に類がないものらしい。
未来においても私を越える者は現れないだろうと曽祖父は言い切る。
そのしわ寄せが次に生まれた長男を飛び越し、私の次に才能がある三男にいってしまう。
三男にしてみれば私の代わりに一族の期待を背負わせられ、さぞかし迷惑だったに違いない。
もっとも三男もただ黙って運命を受け入れるようなことはせず、家を飛び出し好き勝手をしているようだけど。
しかも家を飛び出す時、止めた母親の顔をめった切りにしたと父から聞いている。
時折り送信されてくる執事見習いのメールでは、最近ハンター試験に受かったらしい。
姉として弟なりの人生を自分の力で歩もうとすることは、このうえなく嬉しいこと。
「やあぁ……んっ……」
「はぁ……ん、いいの……あっ……ひっ……」
「うっ、んんっ！」
私の声だけが狭い部屋に響く。
しかも耳障りなほど淫猥に……
いくら我慢しようとしても、絶え間なく漏れ続けてしまう嬌声。
無理やり喘ぎ声を抑えようと口を手で塞げば、今度は鼻にかかった甘い吐息へと変わる。
たとえ私が声を耐えたとしても、容赦なくベッドは軋む。
絶頂を迎えたまま落とされることなく、２本の長い指が休むことなく私の中をかき回し、ぎりぎりに引き抜く動きをしたをかと思えば、深く差し入れるの繰り返し。
それにいつもは皮肉と憎まれ口しか叩かない口が、私の胸に吸い付いたまま離れない。
舌先を器用に使い、敏感になっている乳首を突っついたり弾いたり。
そのうえ口に含んだまま乳首を転がしてはしゃぶる。
たまに痛いほど噛むくせに、その刺激が妙な快感となって体中を駆け巡る。
おかげで自然と腰が浮き上がり、切なく腰がくねくねと動き出す。
「クックックッ…… 、指を増やして欲しい……それとも、もっと太くて長いモノで突いて欲しい？」
とても卑猥な質問なのに、ここがどこかであるのかも忘れ、とろりとした目付きで答えずにはいられない。
「ヒソカので、いっぱい突いて……」
口角を少しだけ上げ、淫靡に笑う顔。
下になっている私はヒソカを導くため、猛ったモノを足の間に出来た泥濘に宛がっていた。
それをヒソカは焦らすように、縦溝に沿って何度も擦り上げてくる。
私は少し苛つきながら腰を浮かせば、タイミングを見計らっていたかのように一気に最奥を突いて来る。
「ひっ……っん」
「あぁあっ……ん」
「うっ、あぁ……」
やはり私の善がり声だけが、狭い部屋に波紋のように広がってゆく。
抑えなければと思いつつ、まったく制御が出来ない。
いえ、ヒソカが制御出来ないように動き、私を狂わせるのだ。
今まで幾度となく身体を合わせ、私の攻め方を熟知しきっている。
「いっ……許して」
……喘ぎながら、私は何に謝っているのだろう。
私が壊れそうなほどヒソカは律動していると言うのに、身体は際限なくヒソカを強請っている。
許してと懇願しつつ、私はヒソカを誘っている。
私はなんて卑らしい女なのだろう。
私の頭の両脇に手を付いていたヒソカは徐に上半身を起し、私の脚を膝の裏から掬い上げる。
「やっ……ヒソカ」
怒張したモノがしっかりと埋まっている場所が、埋めている本人の目に晒されてしまう。
恥ずかしさのあまり、広げられた膝を何とか閉じようとするのだが、ヒソカにしっかりと押さえつけられたうえ、見やすいようにとより開脚させられてしまう。
深々と楔を打ち込まれた場所にねっとりとした視線が絡む。
そして再びヒソカの腰が激しく動き出し、二人の腰が完全に溶け合ってしまう。
それなのに、意地悪なヒソカは……
「…、ボクとしては気持ちよさそうに善がり声をあげてくれて嬉しいんだけど、そんなに声を漏らしていると、隣の部屋に聞こえてしまうと思うんだけどね」
そう言いながらもヒソカはわざと最奥を抉るように突き上げる。
「ひっ……い、いじわるなことを言わないで」
ヒソカに翻弄され忘れていたが、ここは私が帰依する戒律厳しい尼僧院。
隣の部屋には私の尊敬するマザーの一人がいらっしゃる。
汝、神に使える者として、姦通することなかれ……
心をこめ敬謙に唱える聖書の一文も、今はただのお題目に過ぎない。
なぜ私が家族と故郷のパドキア共和国から離れ、このような所で隠遁生活を送っているかと言えば……私の存在自体が罪だから。
生まれて来てしまったことへの懺悔と、犯してしまった事への告解で身を清める日々。
それなのに、未だに人殺しの日々は続いている。
昨夜だって大好きなお父様から連絡を貰い、私は忠実に仕事をこなした。
たまたまターゲットがこの尼僧院のある地元に館を構えていたから。
私は自分にもっともな理由をこじつけ、修道女達が寝静まったのを見て抜け出した。
難なく仕事を済ませて戻るなり、自室の冷たいベッドに潜り込み、手を合わせて祈りを捧げる。
そして震える手でヒソカに短いメールを送ったのだ。
―――助けて―――
切羽詰った一文が、ヒソカを呼び寄せる。
私はこうやって、何度ヒソカを呼び寄せたのだろう。
「、中で出して欲しい？それとも外で出して欲しい？」
我をなくしていた私に、ふざけたヒソカの一言が私を現実に引き戻す。
「あっ…だめ……お願いだから、外にして……」
不本意ながら、私はこれでも一生を神に捧げた身なのだから……神との婚姻。
許されざる姦淫のはずだった。
でもこれは、私だけに許された特権……
私は大きく仰け反り頂点に上り詰める。
大きく収縮する膣から勢いよく引き抜かれるヒソカ自身。
腹の上に小刻みに震えたヒソカが精を放つ……
心地よい体重が落ちてくる。
私は目を潤ませ、広い背中を抱きしめていた。
しばらくして耳元で聞こえる優しい声……
「……本当に、キミはバカな女だね。何が好きでこんな辛気臭い所にいるのか、ボクには理解出来ない」
『いっそのこと、このままキミを攫っていこうか……』
ぐったりと横になる私の耳に、微かに聞こえる布擦れ。
そして音もなく部屋を出て行く気配。
私は目も開けることも出来ず、深い眠りに落ちてゆく。
それは・・・繊細な飴細工にも似て１ 関連作品
それは・・・繊細な飴細工にも似て２End
2018/04/13 改稿
2010/10/25 加筆・修正
2010/10/22
Back姦通：当作品では夫婦間における不義密通だけではなく、本来の社会的、道徳的に容認されない性行為を示しています。