好きだと思ったら、少し強引だが押しの一手で攻めた方が上手く行くらしい。
茶店を出た後は、甘い言葉抜きで積極的に想いを告げ、初めてのデートではあるが、こくりと頷いたシュシュの気が変わらぬうちに、そのまま一人暮らしのシュシュ宅にしけこんだ。
もちろんベッドの中でもワイルドだ。
けっきょく数日をシュシュの家で過ごし、ホームに戻ったのはデートをしてから４日目の昼前だった。
意気揚々とホームの玄関を開ければ、安普請の扉が軋み音で迎えてくれる。
いつもは不快に感じる音も、今日に限って言えば心地よい音に聞こえるから不思議だ。
ホールに足を踏み入れれば、普段は自室で読書をするクロロが珍しく、ホールのソファーで本を読んでいた。
物音に顔を起こしたクロロと目が合うなり、俺は拳を握りガッツポーズを決める。
クロロ！耳の穴をかっぽじって聞きやがれ！！
シュシュの胸が貧弱だと！冗談じゃない！！
シュシュは着やせするタイプだ。
脱がせば俺好みのたわわな形良い胸が現れる。
しかも水滴を玉にして弾きそうな肌の張り！
それに骨がゴツゴツしているだと！？馬鹿言うな！！
ボンキュボンの身体は弾力に富み、最高の抱き心地。
どうだ！クロロ！！
こんな良い女のシュシュを独り占めにした俺は、流星街一の幸せ者よ♪
悔しかったら、シュシュのようなぞっこんになれる女を見付けてみやがれ！！
とはクロロの前で口にはしなかったが、俺の悠々とした態度に、
「良かったな。思いが遂げられて」
と、大した関心も示さず、言葉だけの祝辞を口にすると、視線を再び本へと戻す。
チッ！他人事かよ……
ならばクロロに根掘り葉掘り、シュシュの抱き心地を聞いて貰いたかったのか？
って、他人にしてみればどうでもいい話しに浮かれる俺は、どれだけシュシュに鼻の下を伸ばしているんだ。
「おかえり、フィンクス。それで首尾はどうだった。もちろん目的は達成したんだよね？」
「当然よね。ホームに４日も帰って来なかったんだから」
頭の上から聞こえて来たシャルナークとパクノダの声に視線を上げれば、ホールを見下ろす２階の吹き抜けには、ホームの住人共が雁首を揃えていやがった。
俺のテンションを察知し、待ち構えていたというわけか。
俺は伸びた鼻の下を引き締め、何事もなかったかのように、吹き抜けに設置された階段を上がる。
「それでどうだったんだよ。上手く行ったんだろ？話しはシャルナーク達から聞いているぞ。今度は随分子供っぽい女だって？」
２階に上がるなり通路には、待っていましたとばかりにウボォーギンが立っていた。
その表情には、冷やかしと興味本位であることが見て取れる。
「うるせーな。俺は疲れているんだ。少し寝るからそこをどけよ」
俺は塞がるように立つウボォーギンにそっけなく言うと、その身体を邪魔だと言わんばかりに押し退けた。
「疲れてる？つまり、精も根も尽き果てるまでやったと言うことだね？」
嬉しそうに、それでいてさらりと言うシャルナーク。
お前ら、下品だぞ。
訊くならば、もう少し上品に訊ねてくれ。
そうすれば俺にだって答えようがあると言うもの。
……答えるって、何を？
やはりシュシュとの房中を、皆に語りたくてしょうがないのか…俺は？
それだけシュシュと関係を持ったことが嬉しくてしょうがないということらしい。
まるで初めて女を知ったガキのようで、恥ずかしさがこみ上げて来る。
俺は必死に冷静さを保ちながら、
「言っただろうが。疲れているから俺は寝たいんだ。ともかく話しは後にしてくれ」
俺はそう言うと、自分の部屋へそそくさと逃げ込んだ。
言葉のとおり体はかなり疲れていたが、精神は心地よさに包まれていた。
シュシュの仕事は病院の看護婦で、休みが変則的なうえ夜勤も多い。
しかも同僚の女が急に辞めた関係で、今日から２週間は病院に寝泊まりをすると言う。
つまり最低でも２週間はシュシュと会うことが出来ない。
せっかく互いを深く知ることが出来るようになったと言うのに、いきなり２週間だぞ！
だから勤務がハードになる前に、ここぞとばかりに遣りまくった。
シャルナークが言う通り、精も根も尽き果てるまでやった。
シュシュの奴も俺に会えない２週間が辛いと、俺のことを強請ってくれる……
嬉しいじゃないか。
男冥利に尽きるシュシュの願いを叶えるため、俺は限界に挑んで頑張った♡
童顔のくせに、ベッドであんな色気を発散させるなんて……
しかもあのボディは反則だろうが。
ギャップが生み出す艶に、俺は骨抜き状態だ。
もちろんシュシュの性格の良さを知る４日間でもあった。
シュシュ＝リオラ、なんて可愛い女なんだ♪
俺は服を脱ぎ捨て、ベッドに勢いよく倒れ込む。
そしてシュシュの移り香に包まれ、深い眠りへと落ちた。
クソ！！話しは後にしてくれなんぞと、つまらぬことを言わなければ良かった。
おかげで目覚めればクロロ以外は皆して、シュシュとのことを四六時中訊いてきやがる。
うるせぇ！と思いながらも結局は……
シュシュに嫌われぬ程度に、俺はシュシュのセクシーな魅力を熱く語っていた。
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四の五のいわず・・・End
2018/11/05
Back恋に浮かれたフィンクスを書いてみたかった。